日本腹部救急医学会雑誌
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自然脾破裂の1手術例
宇高 徹総徳毛 誠樹山本 寛斉高尾 智也白川 和豊加地 充昌
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キーワード: 自然脾破裂, 脾摘, 急性腹症
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2003 年 23 巻 4 号 p. 679-683

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抄録

非外傷性の脾破裂は血液疾患や感染症に続発するものが大部分であり, 基礎疾患を認めない自然脾破裂は極めてまれな疾患である. 今回, 自然脾破裂の1例を経験したので報告する. 症例は13歳の女性で, 突然の心窩部痛を主訴に来院し入院となった. 腹部CTで脾内に多数のlow-density areaと腹腔内出血を認め, 脾破裂による腹腔内出血と診断し緊急手術を施行した. 腹腔内に700mlの血液および凝血塊と脾下極に破裂を認めたため脾摘出術を施行した. 摘出標本の割面では大小多数の血腫を認め, 病理組織学的検査では腫瘍を疑わせる所見は認められなかった. 明らかな外傷の既往がなく, 脾破裂を引き起こす可能性のある基礎疾患を有さないため, 自然脾破裂と診断した. 術後経過は良好で, 術後10日目に退院となった. 突然発症の腹痛の患者を診察するとき, 外傷や基礎疾患のない場合でも脾臓が破裂することがあることを念頭に置かなければならない.

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