2003 年 23 巻 7 号 p. 1099-1102
症例は39歳, 男性. 腹痛, 下痢を主訴に来院した. 来院時, 腹部単純X線検査にて腹腔内脾曲付近にスプレー缶の陰影を認めた. 注腸検査にて下行結腸内にスプレー缶の陰影を認め, 観血的手術を行うこととした. 手術は腹腔鏡を併用しつつ異物を肛門側に用手的に駆出したが途中S状結腸に損傷が起こり, 損傷部位より異物を摘出した. その損傷部位を含むS状結腸を人工肛門として留置し, 術後10病日で退院した. 腹腔鏡補助下異物摘出術は経肛門的逆行性異物の除去において有用であり, 文献的考察も含め報告する.