日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
進行大腸憩室癌により腸閉塞を呈した1例
久保田 友紀根本 洋山田 正俊針金 幸平宮地 孟去川 秀樹矢澤 直樹宮前 拓吉田 寛
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2022 年 42 巻 7 号 p. 753-757

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抄録

症例は58歳の男性で,腹痛を主訴に来院した。画像検査で上行結腸癌と思われる腫瘤と,それによる腸閉塞,腹膜転移,脾転移と診断した。イレウス管挿入後,回盲部切除術を行った。手術標本では肉眼的に管腔内に腫瘍を認めず,病理診断上,憩室から発生した大腸癌と診断された。その後,肝転移,肺転移により1年後に死亡した。大腸憩室から発生する大腸癌(以下,憩室癌)について自験例を含めた32例について検討した。憩室癌は術前診断例が少なく,半数以上が腹痛など急性期症状を呈していた。左側結腸に多く,ほとんどは単発で治療は手術が行われていた。病理で癌と憩室の連続性を認めることの難しい症例もみられた。組織型は粘液癌の比率が通常癌より高く,周囲に炎症を伴うことが多い。仮性憩室からの発症が多くみられており,平均的には腫瘍は小さいものの進行癌になりやすい特徴を有していた。

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