日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
腎移植24年後に発症した結腸穿孔の周術期管理の経験
犬飼 公一上原 崇平辻 恵理北山 陽介野々山 敬介原田 真之資三浦 政直
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2019 年 39 巻 1 号 p. 129-132

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抄録

症例は62歳の男性。24年前に献腎移植を受け,プレドニゾロン10mg,シクロスポリン150mgを長期内服中であった。急激な腹痛を主訴に当院に救急搬送され,腹部CTで結腸穿孔が疑われたため,すみやかに緊急開腹術を施行した。横行結腸に穿孔部を認め,洗浄ドレナージを行い,双孔式人工肛門を造設した。術後,急性腎障害を併発した敗血症性ショックとなり,抗菌薬治療に加え血液浄化療法などの集中治療を開始した。術後1日目からステロイド,シクロスポリンを投与し免疫抑制療法を再開した。術後4日目に循環不全から離脱し,7日目に血液浄化療法を終了した。術後18日に集中治療室を退室した。腎移植後患者の敗血症治療は,免疫抑制剤の使用により感染制御が不十分となり死亡率が高い。今回われわれは,術後早期からの免疫抑制療法および血液浄化療法の実施により移植腎機能を喪失せず,救命し得た症例を経験したので報告する。

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© 2019, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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