日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
単3乾電池を多数誤飲し,回収ネットを用いて内視鏡的に摘出し得た1例
山城 直嗣柴田 宗征
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2018 年 38 巻 5 号 p. 925-928

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抄録

筒型乾電池の誤飲に関する報告例は少ない。単3乾電池を多数誤飲した症例に対し,内視鏡下に電池を摘出し得た症例を経験したので報告する。症例は61歳男性。統合失調症の既往があり,精神科病院に入院中であった。患者本人より「6時ごろ電池を飲んだ」と申告があった。腹部単純X線写真で,胃内にX線非透過性異物を多数認め,乾電池誤飲の診断で当院紹介となった。緊急上部消化管内視鏡検査を施行し,胃内に多数の単3乾電池と,多発した胃の腐食性潰瘍病変を認めた。回収ネットを使用し,1個ずつ摘出した。最終的に,11個の単3乾電池を摘出した。残り2個の単3乾電池は,翌日排便とともに排出を認めた。多数乾電池誤飲症例では,短時間で化学性組織障害を起こすため,より早急な摘出術を要する。乾電池の摘出には,回収ネットが有用であった。

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© 2018, Japanese Society for Abdominal Emargency Medicine
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