2013 年 33 巻 4 号 p. 787-790
要旨:症例は77歳の女性で,切除不能胆管癌に対する胆道ステント挿入約1ヵ月後より食後に頻繁な右季肋部痛が認められるようになり,精査目的で入院となった。入院時の腹部US,CTで胆嚢は著明に腫大し,胆嚢壁の高度な肥厚が認められ,胆管癌に併発した急性胆嚢炎と診断された。入院後は絶食とし,抗生剤投与行なったが, 症状の改善がみられず,入院後3日目の腹部CTで胆嚢周囲に膿瘍形成を認めたため,外科的手術を選択した。開腹時,高度な急性胆嚢炎の所見であった。胆嚢摘出は困難と判断し,胆嚢底部に小切開を加え,tube挿入による胆嚢外瘻術を施行した。術後20日目に胆嚢外瘻tubeから胆嚢造影を行い,術後21日目より5日間連日で胆嚢外瘻tubeより無水エタノールを注入した。術後28日目に胆嚢外瘻tubeを抜去した。退院後は急性胆嚢炎の再燃はみられず,1年6ヵ月の間外来にて抗癌剤の投与が可能となった。