日本腹部救急医学会雑誌
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特集:”急性胆管炎・胆嚢炎,急性膵炎のガイドライン”の検証と普及
急性胆管炎・急性胆嚢炎の重症度判定基準改訂のポイント
横江 正道桐山 勢生真弓 俊彦吉田 雅博高田 忠敬
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2013 年 33 巻 3 号 p. 579-585

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抄録

急性胆管炎・急性胆嚢炎の重症度判定基準は国内版と国際版(Tokyo Guidelines 2007:TG07)で,一部,設定が異なる部分があり,その使用にあたって,どちらが適切かわからないといった臨床上の問題をはらんでいた。今回,国内版・国際版の同時改訂という作業の中で,それぞれの疾患の予後不良因子を検索するとともに,予後改善のために重症度判定基準がどうあるべきかをガイドライン改訂出版委員会で検討し,改訂案を作成した。その結果,急性胆管炎では,中等症の設定を検討し,早期胆管ドレナージが適切なタイミングで行えるような判定因子を設定することが改訂のポイントであった。また,急性胆嚢炎では,重症の位置付けを壊疽性胆嚢炎などの局所の重症とはせず,生命予後に影響する臓器不全の因子が陽性であるものを重症と判定することが,改訂のポイントであった。今回の国内版・国際版同時改訂により,日本国内でのダブルスタンダード状態は解消し,また,胆管ドレナージや胆嚢摘出術を行う上でも,より臨床に近い重症度判定基準として活用されていくことが予想される。国際版はTG07からUpdated Tokyo Guidelines(TG13)に改訂され,日本から世界に発信するガイドラインとして新たなステージを迎えることになる。

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© 2013 日本腹部救急医学会
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