2011 年 31 巻 6 号 p. 889-894
主膵管損傷に対する治療は膵切除または再建が確実であるが,日本外傷学会分類IIIb型に対する治療法はいまだ確立していない。当院と関連施設で28年間に経験したIIIb型膵損傷は14例。緊急ERPを10例(1例は術中)に施行した。治療法は膵頭十二指腸切除5例,体尾部切除3例,Letton & Wilson法3例,主膵管縫合,ドレナージ,ステント治療が各1例であった。手術関連死亡は初期に経験した1例のみであり,満足いく結果であった。術式決定のために,確実な主膵管の評価が重要でありERPが有用である。症例によっては,内視鏡的ステント留置により手術を回避できる場合もあり,今後ますますERPの重要性は増してくるであろう。