日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
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ISSN-L : 1340-2242
特集:主膵管損傷例に対する最近の診断・治療法
IIIb型膵損傷例の診断・治療方針
高橋 英幸栗栖 茂八田 健小山 隆司梅木 雅彦宮本 勝文大石 達郎坡平 英樹吉岡 勇気上田 泰弘
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キーワード: 膵損傷, 外傷, 膵管ステント
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2011 年 31 巻 6 号 p. 889-894

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抄録

主膵管損傷に対する治療は膵切除または再建が確実であるが,日本外傷学会分類IIIb型に対する治療法はいまだ確立していない。当院と関連施設で28年間に経験したIIIb型膵損傷は14例。緊急ERPを10例(1例は術中)に施行した。治療法は膵頭十二指腸切除5例,体尾部切除3例,Letton & Wilson法3例,主膵管縫合,ドレナージ,ステント治療が各1例であった。手術関連死亡は初期に経験した1例のみであり,満足いく結果であった。術式決定のために,確実な主膵管の評価が重要でありERPが有用である。症例によっては,内視鏡的ステント留置により手術を回避できる場合もあり,今後ますますERPの重要性は増してくるであろう。

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© 2011 日本腹部救急医学会
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