日本腹部救急医学会雑誌
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特集
軽症例をどう扱うか?(抗菌薬,蛋白分解酵素阻害剤,食事療法)
佐藤 晃彦
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2008 年 28 巻 4 号 p. 577-580

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抄録

急性膵炎では,軽症例であっても入院治療が原則であり,脈拍数・血圧・尿量・呼吸数などの基本的なモニタリングを行いながら,絶食による膵外分泌刺激の回避,除痛,十分な輸液を行う必要がある。軽症例では,感染性合併症の続発がまれであるため予防的抗菌薬投与の必要はなく,蛋白分解酵素阻害剤投与や経腸栄養療法の臨床的有用性も確立されていない。経口摂取を契機として急性膵炎が再燃する場合があるため,食事開始時期の決定は重要なポイントとなる。軽症例では,腹痛の消失,血中膵酵素値やCRPの低下を指標として食事開始を決定することが推奨される。入院時に軽症であっても,経過中に重症化する症例が少なからず存在するため,重症度評価を継続する必要がある。

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© 2008 日本腹部救急医学会
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