日本腹部救急医学会雑誌
Online ISSN : 1882-4781
Print ISSN : 1340-2242
ISSN-L : 1340-2242
症例報告
保存的に治療しえたSegmental arterial mediolysis (SAM) による腹腔内出血の1例
井上 雅文山下 好人川添 義行青松 敬補平川 弘聖
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 27 巻 4 号 p. 651-653

詳細
抄録

症例は65歳, 男性。既往歴 : 3年前より脳梗塞にてアスピリンを内服中。現病歴 : 2005年7月上旬, 腹痛を認めたため近医を受診し, 腸間膜脂肪織炎の疑いにて当院紹介入院となる。左下腹部の圧痛を軽度認めたが, 腹部打撲の既往はなかった。検査所見は白血球11,000/mm3, Hb11.0g/dl, 腹部単純CTでは右上腹部の腸間膜が肥厚していた。腹部US下に腹水穿刺を行ったところ, 血性であったため, 腸間膜血腫ならびに腹腔内出血と診断した。血管造影検査にて右結腸動脈起始部より2~3cmの部位から末梢側にかけて著明な拡張を認めたため, 出血の原因は動脈瘤の一種であるSegmental arterial mediolysis (SAM) によるものと診断した。全身状態は安定していたため保存的加療を行い, 入院17日目のCTにて腸間膜血腫はほぼ消失し, 軽快退院となった。現在, 1年5ヵ月が経過しているが, 腹腔内出血の徴候は認めていない。

著者関連情報
© 2007 日本腹部救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top