公共選択の研究
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情報環境と違いを考慮した代表者選出投票ルールの評価
熊田 禎宣新井 潔
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1984 年 1984 巻 4 号 p. 46-56

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抄録

地区レベルの計画 (またはコミュニティの計画) に対する関心の増大とともに住民参加に新たな可能性が開けつつある.このような状況で議会政治と住民参加の役割分担を含めた代表者の役割についても, 新たな課題が提起されているが, 今のところ十分な議論がなされているとは言い難い.
本研究は, 多様な利害をもつ集団の中から代表者を選出するにあたってのルールを評価することを目的としている.
選挙においては, 投票者と候補者をとりまく情報環境が投票結果に影響を与えるが, ここでは, 異なる情報環境のもとで投票ルールを評価するための理論枠組を提示した.
まず投票ルールとして記名数をとりあげ, その最適性を1階層モデルによって評価した.1階層モデルとは, 投票者が候補者を選ぶという1段階のプロセスのみを含むものである.このモデルをコンピュータ上でシミュレートすることにより, 記名数は, 定数を超えないという条件のもとにできるだけ候補者の半数に近いことが望ましいことが分かった.
一方, 選出された代表者が代替案の中から最適なポリシーミックスを選択する過程を直接扱うために, 2階層モデルをつくった.このモデルによって, 代表者による意思決定の結果をつかって, 代表者選出ルールを評価した.

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© 「公共選択の研究」編集委員会
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