日本生気象学会雑誌
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靴の素材の違いが農薬散布用防除衣着用下の体温調節反応に及ぼす影響
林 千穂登倉 尋実
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キーワード: 防除衣, 農薬, 長靴, 素材, 体温調節
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1995 年 32 巻 1 号 p. 53-61

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抄録

農薬散布用防除衣着用下において, 長靴の素材の違いが人体の生理的反応に及ぼす影響を検討するため, 気温28±0.5℃, 相対湿度50±5%の人工気候室で実験を行った.用いた3種類の長靴は, ゴム長靴 (A, 重量1, 440g) と長靴脚部のみ高透湿防水布 (Goretex) を用いた長靴 (B, 重量750g) およびBに重しをつけてAと同重量にした長靴Cとした.被験者は女子学生5名で, 踏み台 (高さ22cm) 昇降を行い, 直腸温, 心拍数, 皮膚温, 前腕における局所発汗量, および実験前後の衣服重量変化から衣服付着汗量を算出した.得られた結果は以下の通りである.1) A着用時は, B着用時より直腸温は有意に高い値を示したがB, C間には有意差はなかった.2) 下腿の皮膚温はB, C着用時の方がA着用時より有意に低い値を示した.今回の実験結果から, 防除衣を着用した暑熱環境下において生理的, 心理的負担を軽減するには, 靴の素材が重要であることが示唆された.

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