日本生気象学会雑誌
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生体リズムの制御系として働く松果体ニューロン・ネットワーク
森田 之大中村 孝文内田 勝久
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1991 年 28 巻 2 号 p. 51-56

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抄録

変温動物における光受容性松果体の電気生理学的知見をもとに, 松果体が環境光を受容し, 生体リズム制御情報を出力するメカニズムを検討した.光の強さに対応する非感色性の系では, 1) 光受容細胞と神経節細胞が直接シナプスを作る系, 2) 介在ニューロンを含む系が考えられた.後者にはさらにa) 神経節細胞と, 感度及び伝達物質の異なる複数の光受容細胞との間に介在ニューロンが入る系, b) 感度の異なる他の光受容細胞から, 介在ニューロンを介して影響を受ける光受容細胞が, 神経節細胞とシナプスを作る系が挙げられる.波長変化に対応する感色性の系については, 中波長光感受性の光受容細胞が介在ニューロンを介して神経節細胞に興奮性に働き, 一方, 紫外光感受性の光受容細胞は直接, 神経節細胞にシナプスを作って抑制的に作用する系が想定される.光受容性松果体はこれらの神経回路によって環境光の日周リズムや年周リズムに応答していると考えられる.

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