2022 年 39 巻 1 号 p. 56-61
本邦において自律性機能性甲状腺結節(Plummer病)は比較的頻度の低い疾患であり,小児例は非常に稀である。さらに,機能性甲状腺結節が悪性である頻度は低いと報告されている。今回われわれは機能性甲状腺結節を呈した濾胞性腫瘍の診断で手術を行い,病理組織で広範浸潤型濾胞癌と診断された小児例を経験したため報告する。
症例は7歳10カ月の女児,左頸部腫瘤を主訴に近医を受診し,血液検査で甲状腺機能亢進が認め,頸部超音波検査では甲状腺左葉に3.5cmの充実性腫瘤を認めた。123Iシンチグラフィで同部に集積があり,Plummer病と診断され手術目的で当院に紹介された。甲状腺左葉切除術を施行したところ,病理組織診断で広範浸潤型濾胞癌と診断された。術後甲状腺機能は速やかに正常化した。その後甲状腺補完全摘術を施行し,再発なく経過している。
小児における機能性結節は悪性の頻度が高いという報告もあり,小児例では悪性の可能性も考慮した詳細な評価と治療戦略を要する。