1979 年 30 巻 1 号 p. 43-47
寿命試験において, 種々の段階での打切り試料からの寿命分布の推定の問題は, 実用上重要な課題である.しかし, 一般にその取扱いが複雑なため, あまり究明されていないのが現状である.本論文では, 近年信頼性工学の発展とともに脚光をあびてきた寿命分布の推定に関し, このような多重打切り試料を考慮した推定法を提案する.具体的には, 2重指数分布(最小値分布)について, 最尤推定法によるパラメータ推定法を誘導した.すなわち, 位置・尺度の二つのパラメータは, 最終的に簡単な形の2元連立方程式を解いて得られることを明らかにした。また, この解を求めるには数値計算によらなければならないが, その際の収束性のよい計算法を見いだした.加えて, 推定値の分散行列の計算法および信頼領域の設定法についても論じる.