1999 年 13 巻 2 号 p. 183-192
行為論的構造主義と構造論的行為主義との理論的立場の溝を埋めるためには、行為と構造との相互依存、相互規定性の関連を明らかにせねばならない。本論では構造を、時間的、実体的に比較的安定した要素間の関係と定義し、構造は行為と行為の間の関係としてネットワークに抽象化することが可能であることを論じる。さらに、ボナチッチ中心性を、構造と行為の再帰的関係が明示されている事例としてとりあげ、行為の理解には当該行為の構造特性の理解が必要であり、ミクロレベルの行為とマクロ構造との両概念を包括するネットワークの概念の重要性を論じる。