糖尿病
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DTICの投与により長期生存し得たグルカゴノーマの1例
黄 尭範藤田 準石田 均清野 裕
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1999 年 42 巻 11 号 p. 951-956

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抄録

57歳男性. 37歳時より陰嚢部に頑癬様皮疹出現. その際糖尿病指摘されたが放置. 1981年 (45歳時) 9月に皮疹が上下肢, 体幹に出現した. 1982年10月に, 血中グルカゴン (IRG) 5, 920pg/mlと高値, 肝転移を伴う膵体尾部のグルカゴノーマの診断受け, 膵体尾部切除およびアミノ酸輸液を受け皮疹の軽決をみた. その後多発性肝転移に対し, DTIC (Dimethyl-triazeno-imidazolecarboxamide) の定期投与および糖尿病のコントロールを行い, 良好に経過した. 1992年10月より左下腿の発赤, 腫脹, 痙痛出現. 深部静脈血栓症の診断の下, ウロキナーゼ, PGE1の点滴等の抗凝固療法にて, 軽快. その後DTIC投与したが, IRG1, 926P9/mlと不変であったため, ソマトスタチンアナログであるSMS201-995を20日間投与した所984pg/mlと有意に低下した. 1993年3月, 心不全, 腎不全により死亡するまで, 肝転移を認めた後も, 1 1年間長期間生存した. 本例では, DTICおよびSMS201-995が肝転移の増大およびIRG値を長期間抑制し得たと考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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