糖尿病
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糖尿病治療変更による血小板凝集能およびイノシトールリン脂質代謝への影響に関する検討
板谷 聡実石塚 達夫和田 啓明谷口 治三浦 淳加納 克徳石澤 正剛安田 圭吾
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1998 年 41 巻 3 号 p. 185-194

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抄録

糖尿病性合併症の進展において血小板凝集能亢進は重要な因子の一つと考えられている. 同一糖尿病患者における, 治療法変更が, 血小板凝集能, イノシトールリン脂質代謝, タンパク質リン酸化反応に与える影響について検討した. 食事療法からSU剤治療への変更により, 低濃度トロンビンによる血小板凝集能は抑制され, SU剤治療がインスリン治療への変更では, 血小板凝集能の更なる低下が認められた. また, イノシトールリン脂質代謝の検討では, 食事療法がSU剤治療への変更, SU剤治療がインスリン治療への変更で, ともにトロンビンによるphosphatidic acid (PA) 増加反応の抑制が認められた. 以上より, SU剤, インスリン治療により, トロンビンによる血小板ホスホリパーゼC活性化の抑制を介した血小板凝集能抑制効果の存在が推察された.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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