糖尿病
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糖尿病発症20年後でも抗GAD抗体が検出されたslowly-progressive-IDDMの1例
清野 弘明平田 昭彦山口 宏山崎 俊郎菊池 宏明阿部 隆三
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キーワード: 抗GAD抗体, ICA, HLA
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1996 年 39 巻 4 号 p. 289-293

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抄録

症例は69歳の男性. 49歳の時 (1975年) 健康診断にて尿糖陽性を指摘され, 1976年5月当院初診. 初診時FPG139mg/dl, 尿ケトン体 (一), 1カ月入院後1760kcalの食事療法とグリブゾール (125mg) の内服治療により1977年1月まで良好な血糖コントロールが得られたが, 同年2月に血糖コントロール不良となりレンテインスリン朝8単位のインスリン治療を開始した. 1981年に施行した75g GTT時の血中CPRの最高値は1.1ng/mlであり, 糖尿病発症5年にて内因性インスリン分泌能の著明な低下を認めた. ICAは陰性であったが, 1995年度に検査した抗GAD抗体は63au/ml (正常値35au/ml以下) と陽性であった. 本例は臨床経過よりslowly-progressive-IDDMと思われたが, 発症後20年経過しているにもかかわらず抗GAD抗体が陽性を示していることは興味深いと思われる.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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