糖尿病
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糖尿病性単神経障害24例の臨床的検討
特に急速な血糖コントロール是正による発症例の臨床像
雨森 正記安田 斎吉川 隆一繁田 幸男
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1993 年 36 巻 4 号 p. 293-298

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抄録

糖尿病性単神経障害の発症要因と臨床的特徴について検討した. 過去12年間に当科に入院した糖尿病性単神経障害は24例で, 同期間の入院糖尿病患者における頻度は3.1%であった. 動眼神経, 外転神経, 腓骨神経の障害が多かった. 単神経障害患者は, 高齢者に多く, 単神経障害発症時に血小板凝集能が亢進している症例が多かった. 男性ではほぼ全例が喫煙していた. 眼筋麻痺の症例は高齢であり, 糖尿病罹病期間が長く, 血清コレステロール値が高く, 他の糖尿病性合併症も多い傾向にあった. 単神経障害発症時のHbA1値と年齢とは有意な負の相関があり, 良好な血糖コントロールであっても高齢者は単神経障害を発症する可能性があると考えられた. また急速な血糖コントロール改善後に単神経障害を発症した症例が5例 (20.8%) 認められ, 全例女性であり対称性末梢神経障害を伴っていた.

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