糖尿病
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全身性インスリンアレルギーを伴い, インスリン抵抗性による糖尿病性昏睡をきたした1例
篠塚 正彦広瀬 賢次宮司 勝塚本 剛
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1981 年 24 巻 7 号 p. 755-760

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抄録

インスリン治療に際し, インスリン抵抗性および全身性インスリンアレルギーはともに稀に遭遇する問題であるが, われわれは今回両者を合併し糖尿病性昏睡を発症した興味ある症例を経験した.症例は57歳女性, インスリン療法再開後9, 10日目に全身のジンマシンと発熱が出現し, 13日目にケトアシドーシスとなった.ケトアシドーシスはレギュラーインスリン計450単位の投与に反応せず昏睡に進行したが, アクトラピッドインスリンに変更し投与量を増加したところ, 治療が奏効し救命しえた.ウシ, ブタ, MCブタインスリンを用いた直接皮内反応, Prausnitz-Küstner反応, Insulin Radioallergosorbent Test (RAST) は陽性であり, 全身のジンマシンと発熱はIgE型インスリン抗体によるインスリンアレルギーと考えられた.レギュラーインスリン450単位投与後の血清125I-インスリン結合率は67.1%, 血中総インスリンは900μU/ml以上, 血中遊離インスリンは32μU/mlであり, インスリン結合抗体によるインスリン抵抗性を呈していた.しかしアクトラピッドインスリンの大量投与に変更後, 血中遊離インスリンは急速に増加し, 320μU/ml以上を維持しており, 治療効果を裏づけていた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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