1975 年 18 巻 5 号 p. 482-492
白色ウサギをもちいて, l-asparaginaseのもつ催糖尿病作用のうち今回は膵組織とくにB細胞の光顕ならびに電子顕微鏡的変化について検討を加えた.l-aspara墓inase単独投与ウサギの光顕的所見では, B細胞のクローム・アラム・ヘマトキシリン染色性の軽度の低下を認めた.電顕的所見では, B顆粒の著明な減少, 内容を欠く限界膜の細胞周辺への偏在化, Golgi野の発達, large vesicle, lysosome-likebodyも一部に認められた.
l-asparaginase, cortisone併用ウサギの光顕所見では, B細胞のクローム・アラム・ヘマトキシリン染色性の極度の低下, 細胞周辺への顆粒の局在性は著明であったが, 核の異常, 細胞破壊などの像はなかった.
電顕的所見では, B細胞の脱顆粒は著明であるが, 内容を欠く限界膜の数は少ない.mitochondriaはやや膨張し, 変形しているものがあるが, その数は多くない.Golgi装置の数は減少している.粗面小胞体は発達したfilament構造の中に埋没し, ribosomeは表面より解離し, 細胞内に分散して, 全体としてB細胞の変性所見が高度であった.cortisone自体にもB細胞障害作用が認められているが, 何故両者の併用が各単独投与群より著明な変化を惹起するかは, 今後検討を要する.