糖尿病
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血中インスリン反応からみた糖尿病治療法の選択基準について
稲田 満夫風間 善雄蔵田 駿一郎笠木 寛治高山 英世
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1974 年 17 巻 5 号 p. 420-426

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抄録

治療前より6ヵ月以上約4年間にわたり, 外来にて治療経過を観察し得た糖尿病患者129例の: コントロール状態をretrospectiveに検索し, 糖尿病治療法の選択基準を作成した.
先ず, 糖尿病の3ントロール状態は, 体重, 空腹時血糖値および耐糖試験でのIRI反応の3因子と密接な関係にあると考えられた.
そこで, 対象患者よりコントロール良と判定された80例について, それらの治療内容と上記の3因子との関係を検討した.かくして, 肥満糖尿病患者 (標準体重を10%以上超過するもの) で, 空腹時血糖値180mg/dl以下, IRI遅延反応 (ΣIRI>101) を示すものは, 食事療法単独でコントロール可能であった.空腹時血糖値180mg/dl以上, IRI遅延反応を示すものでは, 食事療法に経口糖尿病剤の併用された例が約半数にみられた.次に, 非肥満糖尿病で空腹時血糖値180mg/dl以下, IRI遅延反応を示すものは, 食事療法単独で, またIRI低反応 (ΣIRI<100) を示すものは, 経口剤の併用が必要であった, 非肥満糖尿病で空腹時血糖値180mg/dl以上の症例では, IRI反応の遅延反応および低反応を示すものいずれも, 食事療法に経口剤投与またはインスリン注射が必要であった.
以上の成績に基づいて, 作成された糖尿病の治療法選択の基準は, 糖尿病の治療指針として, また治療効果の大体の予測を可能にする点, 日常臨床に利用するのに有用と考えられた.

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© 社団法人 日本糖尿病学会
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