糖尿病
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症例報告
糖尿病増悪を契機に診断されたCA19-9感度未満の膵癌でLewis血液型陰性と判明した1例
松田 瑞沙堀口 恭平村田 真里子中戸 美沙畑 悠佑佐々木 敬徳安部川 卓浜野 久美子永井 義夫
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2024 年 67 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

膵癌の初期は特異的な症状に乏しく,糖尿病の急な増悪や腫瘍マーカー陽性などが疾患を疑うきっかけとなる.今回,CA19-9感度未満の膵癌で,Lewis血液型陰性と判明した症例を経験した.79歳の男性が血糖管理困難となり紹介受診した.患者に生活習慣の乱れはなく,各種検査の結果から,膵頭部癌・多発肝転移と診断した.CA19-9は測定感度未満だった.Lewis血液型を確認したところ,Lewis血液型陰性と判明した.追加で測定したDUPAN-2は上昇していた.Lewis血液型は血液型の一種で,陰性者ではCA19-9が測定感度未満となる.一方DUPAN-2は,CA19-9がLe酵素で修飾される前駆体であるため,CA19-9が感度未満の場合に補完できる.CA19-9が感度未満の場合,Lewis血液型陰性の可能性がある.DUPAN-2など他の腫瘍マーカーや画像検査を組み合わせてさらに検査を行うべきである.

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© 2024 一般社団法人 日本糖尿病学会
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