2016 年 59 巻 4 号 p. 188-195
2008年度から5年間定期通院を継続していた2型糖尿病318例を対象として,外来直接医療費(眼科など他院で発生する医療費は含まれない)を算出し,5年間の変化量に関係する因子について検討した.外来医療費は204例(64 %)で増加しており,全体では31.6±16.7万円/年から37.9±20.9万円/年へと有意に増加していた.5年間の外来医療費の変化量は,観察開始時点におけるBody mass index(BMI),HbA1cと有意な正の相関を,外来医療費,HDL-コレステロール,ヘモグロビンと有意な負の相関を示した.これらの因子を独立変数として行なった多変量解析では,観察開始時点における外来医療費とHbA1c,BMIが5年間の外来医療費の変化量の独立した説明因子であった.以上より,体重への介入が将来的な医療費を抑制できるかについての介入試験が必要と考えられる.