胆道
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重症急性膵炎を合併したcholedochoceleの1例
筒井 邦彦内田 尚仁有友 雄一小野 昌弘鎌田 英紀
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2007 年 21 巻 5 号 p. 665-669

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抄録

重症急性膵炎にcholedochoceleを合併した症例を経験したので報告する.症例は70歳男性で,今まで特発性急性膵炎による入院歴が2回あった.今回も腹痛を主訴に近医受診し,急性膵炎の診断のもと当科紹介となった. 血液検査, 腹部C T 検査で厚生労働省急性膵炎重症度スコア9点の重症急性膵炎と診断した.一部に膵壊死の所見を認め,蛋白分解酵素阻害剤と抗生剤による持続動注療法を開始するとともに,ICU全身管理下に加療したところ順調に急性膵炎は改善した.明らかな胆石や高脂血症もなく,また,大酒家でもないため,原因検索の目的でERCPを施行した.Choledochoceleを認め,急性膵炎の原因と考えられ,内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行した. その後約4 年問経過を追っているが, 急性膵炎の再発は認めていない. 原因不明の重症急性膵炎の場合,その原因として本症も念頭に置く必要があると思われた.

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