2005 年 19 巻 1 号 p. 90-97
症例1は62歳男性, 近医通院中, 反復する胆道系酵素の上昇と軽度の黄疸とが認められていた. 腹部超音波検査にて胆管拡張を指摘され当科紹介となった. 腹部CTでは外側区域中心の肝内胆管の拡張が認められ, ERCP/IDUSでは左肝管を中心に粘液によると考えられる透亮像が認められた. 左肝管に発生した粘液産生腫瘍と診断し, 肝左葉+左尾状葉切除術を施行した. 病理診断は papillary adenocarcinoma with adenoma component, 膵臓のIPMN類似の腫瘍であり, 深達度は mであった. 症例2は52歳女性, 肝機能異常にて近医で検査を施行, 左肝管の拡張とPTBD挿入時の造影で左肝管を中心とした透亮像とが認められ, 精査目的にて当院内科に紹介となった. 左肝管原発の胆管内乳頭腫瘍の診断にて, 手術目的にて当科に紹介, 肝左葉切除術を施行した. 病理診断はwell differentiated mucinous adenocarcinoma, 深達度はssで肝実質に浸潤が認められた. 自験2症例はChenらの“intraductal papillary neoplasia of the liver(IPN-L)”に相当する病態と考えられた.