1998 年 12 巻 3 号 p. 251-257
胆汁中のエンドセリン-1の測定には血漿用測定キットが流用されているが,その測定値については精度の点で問題点がある.今回,enzyme immunoassay(EIA)法およびchemiluminescent enzyme immunoassay(CLEIA)法によるエンドセリン-1血漿用測定キットを使用して,胆汁中エンドセリン-1の測定法について検討した.その結果,測定検体の濃縮抽出操作を要する従来のEIA法では,胆汁中エンドセリン-1の定量は不可能であったが,濃縮抽出操作前に胆汁検体中のビリルビンおよび胆汁酸を除去すれば,EIA法でも44.5±9.1%の回収率で定量は可能であった.CLEIA法は検体の濃縮抽出操作を必要としないため,血漿と同様の方法でも胆管胆汁であれば68.9±20.5%の回収率でエンドセリン-1の測定が可能であった.しかし,胆嚢胆汁ではCLEIA法を用いても回収率は22.1±20.5%と低く,さらなる検討を要するところである.