1997 年 11 巻 4 号 p. 378-382
症例は79歳,男性.急性胆嚢炎症状にて入院した.保存的加療にて軽快しないため,経皮経肝胆嚢ドレナージを施行したところ,胆嚢内容は凝血塊の混入した感染胆汁であった. 胆汁細胞診にてClass V を検出し, 胆嚢癌と診断した. 術前診断Gfb,S0,Hinf0,H0, Binf0, P0, N (-) Stage Iと判断し,開腹下胆嚢摘出術+肝床切除術,R1郭清を施行した.切除標本では底体部の浸潤型ss胆嚢癌であり,胆石や癌浸潤,リンパ節腫大などによる胆嚢管閉塞を認めなかった.急性胆嚢炎発生機序に関して興味深い症例と考え,多少の文献的考察を加え報告する.