胆道
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総説
硬化性胆管炎の病理
能登原 憲司
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2020 年 34 巻 5 号 p. 828-839

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抄録

硬化性胆管炎には経過や治療法の異なる疾患が含まれ,正しい診断が求められるが,生検診断は有益でないことが多い.原発性硬化性胆管炎(PSC)はあらゆるレベルの胆管で炎症,線維化をきたすものの,病変の分布が不均一で肝生検では採取困難である.しかしながら,小児PSCの診断では肝生検が必要とされる.大型胆管には,炎症細胞の豊富な肉芽組織を伴う活動性病変を認めることがあり,胆管生検で採取できる可能性がある.IgG4関連硬化性胆管炎は大型胆管の病変で,壁内にリンパ球,形質細胞の浸潤と線維化がみられるため,胆管生検での採取は難しい.肝内胆管病変があれば,末梢の門脈域に広がった細胞浸潤が肝生検で採取できる可能性がある.二次性硬化性胆管炎(SSC)のうち,好酸球性胆管炎,免疫チェックポイント阻害薬のimmune-related adverse events,SSC in critically ill patientsについても簡単に紹介した.

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© 2020 日本胆道学会
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