胆道
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症例報告
ウルソデオキシコール酸投与後に頻回再発した遺伝性球状赤血球症に合併した総胆管結石症の1例
中河原 浩史山雄 健次野村 舟三岩塚 邦生高橋 利実小川 眞広後藤田 卓志森山 光彦
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2017 年 31 巻 2 号 p. 279-283

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抄録

症例は54歳,女性.45歳時に遺伝性球状赤血球症に合併した総胆管結石に対して,内視鏡的乳頭切開術および胆管結石除去術を施行した.4年後に総胆管結石を再発したため,内視鏡的胆管結石除去術を施行し,総胆管結石の再発抑制目的でウルソデオキシコール酸600mg/日の投与を開始した.その後4年間で6回の頻回な総胆管結石の再発がみられたため,除去した結石を成分分析に提出したところ,ウルソデオキシコール酸が主成分であった.ウルソデオキシコール酸を投与中止してから,1年半は胆管結石の再発はみられていない.ウルソデオキシコール酸による胆管結石は腹部エコーやCTなどの画像検査や,結石の肉眼所見では他の結石との鑑別は困難であった.そのため,ウルソデオキシコール酸投与中の胆管結石症例では,ウルソデオキシコール酸を原因とした結石の可能性も考慮し,必ず結石分析を行うことが重要であると考えられた.

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© 2017 日本胆道学会
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