2015 年 29 巻 2 号 p. 261-265
胆嚢内に広範な粘膜内癌を伴った早期胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳の女性.主訴は心窩部痛.腹部造影CTにおいて,造影効果を伴う胆嚢管腫瘍と胆嚢内にも丈の低い隆起性病変を認めた.ERCでは胆嚢管に蟹爪様の陰影欠損像を認めたが,総胆管に異常所見を認めなかった.胆管腔内超音波検査(IDUS)では胆嚢管内に低エコーの腫瘍を認め,総胆管内に突出していた.以上より乳頭型の胆嚢管癌と診断し,胆嚢床切除,肝外胆管切除,リンパ節郭清術を施行した.切除標本では胆嚢管に3.5×2.5 cmの隆起性腫瘍を認めた.胆嚢管腫瘍の病理所見は乳頭腺癌で,深達度はmであった.また,胆嚢粘膜にも広範に乳頭腺癌が広がっていた.胆嚢内の病変は連続性を欠いており,多中心性の発癌形態が示唆された.術後2年現在,無再発である.