胆道
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原著
単孔式胆嚢摘出術は標準手術となり得るか?―術式の定型化を目指して
廣川 文鋭林 道廣宮本 好晴朝隈 光弘米田 浩二井上 善博有坂 好史増田 大介谷川 允彦
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2011 年 25 巻 2 号 p. 169-174

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抄録

要旨:近年,単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下SPC)が脚光を浴びている.しかし,従来の腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下CLC)と比較し低侵襲性ならび整容性に優れているものの,手術操作が独特であり,普及したとは言い難い.SPCが胆嚢良性疾患の標準手術になり得るためには,安全性が十分に担保される必要があり,そのためには手術手技の定型化が必須である.我々は,2009年6月よりSPCを導入し,2010年12月まで75例に施行した.手術時間を定型化の指標と考え,手術手技が確立する初期の14例をA早期群(A群),その後同一術者による41例をA後期群(B群),定型化の後に新たな3名の術者が施行した10例をExtra群(C群)とし比較した.Extra群(C群)の手術時間は90±17分とA後期群(B群)の94±32分と差を認めず,A早期群(A群)116±23分に比べ有意に短かく,また術中胆嚢損傷や術後合併症も認めず,術式を定型化することにより,SPCは標準手術となり得ると考えられた.

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© 2011 日本胆道学会
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