2011 年 25 巻 2 号 p. 163-168
要旨:混合型肝癌(CHC)は稀な原発性肝癌であり,その特徴は未だ十分解明されていない.CHCの外科切除例6例の臨床病理学的特徴と予後を検討し,肝細胞癌(HCC)切除377例と胆管細胞癌(CCC)切除36例と比較した.
CHCは,全例男性で,83%の症例で,ウイルス肝炎マーカーが陽性で慢性肝炎や肝硬変を有し,組織学的血管浸潤を認めた.全例stage III以上であり,1年,2年生存率はそれぞれ66%,16%と予後不良であった.CHCは,CCCと比べると60歳以下,男性,慢性肝疾患例が多かったが,HCCと比べこれらの因子に差は無かった.CHCは,HCCに比べCEA陽性率が,CCCに比べPIVKA-II陽性率が高かった.CHCの術後再発部位はリンパ節,腹膜がHCCより有意に多く,その予後はHCCよりも有意に不良で,CCCと比べて不良であるが有意差は認めなかった.
CHCは,患者背景因子はHCCと類似しているが,予後や再発形式はCCCに類似していた.