1994 年 5 巻 1 号 p. 11-21
本研究では, 上位カテゴリーが幼児による特徴の帰属や帰納的推論にどのような役割を果たしているかを検討した。実験1では, 21人の5歳児と19人の6歳児に, 動物, 虫, 野菜それぞれの12の正負事例を提示し, 各カテゴリーの特徴を持つ事例を選択させた。その結果, 動物, 虫, 野菜として選ばれた正事例が選ばれなかった正事例よりも特徴を持つものとして高い比率で選択された。実験2では, 21人の5歳児と18人の6歳児に, 動物, 虫, 野菜として選ばれたlつの事例が実験1と同様の特徴を持つことを教示したうえで, 12の正負事例からその特徴を持つ事例を選択させた。すると, 動物, 虫, 野菜として選ぱれた正事例が特徴を持つものとされる選択比率が, 実験1の場合よりも有意に増大したが, 動物, 虫, 野菜として選ばれなかった正事例では, 選択比率が実験1と変わりがなかった。これらの結果から, 幼児が上位カテゴリーに基づいて特徴を帰属したり, 帰納的推論を行うことが示唆された。