発達心理学研究
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幼児のビデオ映像理解の発達 : 子どもは映像の表象性をどのように認識するか?
木村 美奈子加藤 義信
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2006 年 17 巻 2 号 p. 126-137

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抄録

本研究では,4,5,6歳児を対象に,映像を実在視せず表象として理解するようになるまでの発達プロセスを検討した。表象性理解の指標としては,映像世界と現実世界との(風の作用を介しての)インタラクションの可能性を子どもがどのように認識しているかを取り上げ,特に志向性の方向(映像は現実に影響を及ぼしえるか,現実は映像に影響を及ぼしえるか)と,その源泉がヒトであるかモノであるかの違いが子どもの認識に及ぼす効果を調べた。その結果,以下の二点が明らかとなった。(1)5歳前半までは映像とのインタラクションが可能であると考える子どもが多くみられたが,6歳台ではその可能性を否定する子どもが増加した。(2)志向性の方向と源泉についてはその効果がみられたが,年齢によって異なる現れ方をした。映像の表象性理解には従来考えられていたより長い発達的プロセスが必要であり,そこにおいては志向性の要因が影響を及ぼすことが示唆された。

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© 2006 一般社団法人 日本発達心理学会
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