日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
地域住民が必要とする病院をめざして
岩手県立中央病院の取り組み
望月 泉
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2014 年 14 巻 4 号 p. 179-188

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抄録

 地域住民が必要とする病院とは、地域になくてはならない病院である。いつでも診てもらう(24時間救急対応)ことができ、かつ治りが良く、親切であたたかい病院のことを言うのかもしれない。医療の質と経営の質、両者のDouble Winnerが条件となるであろう。岩手県立中央病院は昭和62(1987)年3月、現在地に新築移転、県立病院のセンター病院として高度・先進医療に取り組むと同時に、断らない救急を病院のミッションとしてかかげ、全診療科参加型の救急医療をおこなう(全科オンコール)体制を作り上げてきた。また医師不足が深刻な地域の公的病院へ医師を派遣するとともに臨床研修指定病院として医師の養成や県内医療従事者を対象とした研修・教育にも取り組んできた。一方、累積損益は1998年がピークとなる大きな欠損金をかかえていたが、目標をさだめ全職員が同じ方向を向きトップダウンとボトムアップの手法で種々の業務改善に取り組み、黒字転換した。今後の当院の2大テーマは、ひとつは地域包括連携の構築、病院完結型医療から地域完結型医療への転換である。高齢者の看取り、在宅医療を視野に入れたシームレスな地域包括ケアの構築である。また、すぐ近くにある岩手医科大学付属病院が矢巾地区に移転することが平成30(2018)年に予定されている。盛岡医療圏としての入院体制、通年使用できるヘリポートの整備などを含めた救急医療体制の整備が急がれる。

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