The Journal of JASTRO
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口腔領域癌に対する小線源治療の足跡と展望
堀内 淳一
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1996 年 8 巻 1 号 p. 9-20

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抄録

口腔領域の癌は視・触診によりほぼその全体像が推定可能であるが, 近年の画像診断の進歩で隣接部位やリンパ節転移の状況まで把握できるようになり, 治療が容易となった.放射線治療, とくに密封小線源治療は古くから頭頸部領域癌の治療には機能・形態保持の面で重要な治療手段であるが, 最近の形成外科の進歩により手術療法と競合する面も多くなっている.長年におよぶ著者の経験を基に, 口腔領域癌に対する放射線, とくに小線源治療の成績, 後障害などから, その適応について改めて検討するために本稿をまとめた.限局性の病巣では組織内照射・モールド治療など低線量率小線源治療は治療効果は極めて大であり, 後障害も残さず, 患者のQOLの面からも優れた手段であることはいうまでもない. ラジウムに代る線源として防護の容易なイリジウムが使用され, さらに被曝の全くないRALSも急速に普及しつつある.高線量率小線源治療については, その時間的線量配分, 線量率効果などについてはまだ未解決の点も多く, 適応の拡大, 関連器具の改良, 線量評価の標準化などと合せて解決すべき事項は多いが, 長い歴史のある低線量率小線源治療の実績を基盤として, 新しい手段の発展のための資料として寄与できれば幸いである.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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