The Journal of JASTRO
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組織内照射における金属マーカーの有用性
CTV-based Dose Prescriptionへの応用
吉田 謙能勢 隆之小泉 雅彦御供 政紀西山 謹司吉田 岑雄
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2002 年 14 巻 4 号 p. 253-260

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抄録

【背景および目的】我々は高線量率組織内照射においてclinicaltarget volume (CTV)-based Dose prescriptionを施行している. 治療計画時にはCTVとOrgans at risk (OAR) を再構成するため, 金属マーカーを利用している. 金属マーカーの有効性を検証した.
【方法と対象】1999年10月から2001年5月までに大阪府立成人病センター, 国立大阪病院および三田市民病院でImplantを施行した51例中, 金属マーカーを用いた49例 (頭頸部32, 骨盤部11, 骨軟部3, 乳腺3) を対象とした. アプリケータ刺入時に,(1) CTVの辺縁に49例179個,(2) OARに26例151個の金属マーカーを刺入・留置した. 刺入時に記録したCTVとマーカー, アプリケータとの位置関係から治療計画にCTVを再構成した. CTVを囲むIsodosesur faceへ抗腫瘍線量を投与するように計画した, OARへの投与線量は直腸, 尿道, 下顎骨, 皮膚, 大血管についてそれぞれ抗腫瘍線量の80%, 150%, 100%, 50%, 200%以下を目標とした. 金属マーカーの線量, パリ法で計画した場合との比較 (マーカーの線量, DNR, Hyperdose sleeve), 初期治療成績を検討課題とした.
【結果】(1) CTV用の金属マーカー179個中158個 (42例) は抗腫瘍線量以上となった. 9個 (7症例) はOARへの影響を考え投与線量を下げた. 残りの12個 (7%) は金属マーカー刺入が不適切であったため計画対象外とした.(2) OARについては尿道内の2綱 (1例) のみが目標線量以上となった.(3) 下顎骨のマーカーは7個が金属歯冠のため同定できなかった.(4) パリ法で計画した場合, 16例のCTV用金属マーカーが抗腫瘍線量以下となった. OARについては, 4例 (直腸+尿道2, 尿道1, 大血管1) が目標線量以上となった.(5) CTV-based Dose prescriptionでは, DNRが0.31±0.08, Hyperdose sleeveが4~49mm (中央値7mm) となり, パリ法 {DNR: 0.28士0.08;Hyperdose sleeve: 3~99mm (中央値6mm)} と比較して有意差を認めた (p<0.002, 0.0002).(6) 局所制御率は88%(43例) であった, 抗腫瘍線量以上を投与できた42例中2例のみが再発したのに対し, 投与できなかった7例中4例が再発した (p<0.0001).
【結論と考察】金属マーカーにより, CTVに対する抗腫瘍線量の投与を正確に行うことができた. OARへの線盤を調節できた. 再抗腫瘍線量を投与できなかった症例は有意に局所制御率が不良であった.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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