形態・機能
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原著論文
異なる保存方法におけるヒト母乳の形態学的特徴
安部 恭子島田 達生
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2011 年 9 巻 2 号 p. 71-78

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抄録

母乳を冷蔵や冷凍で保存した際の影響を形態学的に明らかにするために、冷蔵又は冷凍保存の母乳が光学顕微鏡(LM)と透過電子顕微鏡(TEM)下で調べた。用手搾乳した同一人物の母乳が異なる温度条件(4℃、-2℃、-18℃)でそれぞれ3時間(コントロール)、3日間、6日間そして1ヶ月間保存された。LM用として37℃まで温められた母乳の一滴(20 μm)をスライドグラス上の2%osmium solution中に滴下した。一方、TEM用として遠心分離した上層の黄色の部位を採取した。コントロールにおいて脂質滴からなる脂肪球はオスミウムで黒く染まった小顆粒としてみえた。4℃、6日間および-2℃、1ヶ月保存した母乳中により大きな脂肪球が出現した。冷凍保存した母乳は保存期間に関係なく、大型化した脂肪球が多くみられた。TEM所見においてコントロールの脂肪球は球形で、約2~6 μmであり、脂肪滴とそれを含む限界膜によって包まれていた。脂肪滴と限界膜の破壊した脂肪球がしばしばみられたが、-2℃、1ヶ月保存した母乳では脂肪球はよく保存されているようにみえた。一方、冷凍母乳において脂質球の大部分は限界膜が壊れ脂質滴が大型化していた。

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© 2011 コ・メディカル形態機能学会
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