日本小児外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(LPEC)を契機に診断された性分化疾患(DSD)の3例
仲野 聡高須 英見長谷川 美和井岡 笑子小野 靖之
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2020 年 56 巻 4 号 p. 402-406

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抄録

性分化疾患(DSD)は女児鼠径ヘルニアの約1%で合併し注意を要する.卵巣滑脱のない鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(LPEC)を契機に診断されたDSDを3例経験したので報告する.症例1・2は7歳と4歳の姉妹.姉は右Potts手術既往あり.卵巣滑脱はなく,姉は左,妹は両側のLPECを予定した.術中所見で精巣様性腺と精管あり,卵管・子宮はなく,DSDを疑い観察のみとした.完全型アンドロゲン不応症(CAIS)と診断し,後日に両側性腺摘出術・LPECを施行した.症例3は6歳女児.卵巣滑脱はなく,両側のLPECを予定した,術中所見で子宮がなく,DSDを疑い観察のみとした.ロキタンスキー(MRKH)症候群と診断し,後日にLPECを施行した.術前超音波検査で卵巣滑脱を認めない場合にもDSDを考慮する必要がある.LPECは術中に内性器を容易に観察でき,DSDの早期診断に有用である.

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