日本小児外科学会雑誌
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症例報告
胎児期に絞扼性イレウスを発症した腸間膜裂孔ヘルニアの1例
白井 剛中村 晶俊後藤 麻木
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2019 年 55 巻 1 号 p. 129-134

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抄録

症例は0生日の女児.妊娠35週6日に母が胎動減少を自覚し,妊娠36週0日に受診した.Cardiotocogramでは基線細変動の減少と軽度変動一過性徐脈を認め,胎児超音波検査では腸管拡張と腹水を認めた.胎児機能不全と胎便性腹膜炎の診断で,同日に緊急帝王切開で出生となった.腹部は緊満し,貧血と代謝性アシドーシスを認めた.腹部超音波検査で腸回転異常症の所見はなく,消化管造影では空腸での通過障害およびmicrocolon像を認めた.絞扼性イレウスの診断で出生4時間後に手術を施行した.空腸部の腸間膜裂孔に小腸が嵌入し捻転壊死し,壊死腸管より肛門側の腸管内腔には灰白色の胎便が充満していた.壊死腸管を切除後,端々吻合し,裂孔部を修復した.術後32日目に退院となった.自験例は,出生前および出生後の所見から,少なくとも胎児期中期から腸間膜裂孔に嵌入していた腸管が出生直前に捻転し,胎児絞扼性イレウスとして発症したと考えられた.

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