日本小児外科学会雑誌
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症例報告
神経芽腫との鑑別を要しoncologic emergencyを呈した新生児胃原発未熟奇形腫の1例
森口 智江川野 孝文大西 峻山田 耕嗣桝屋 隆太町頭 成郎中目 和彦向井 基加治 建家入 里志
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2018 年 54 巻 5 号 p. 1106-1111

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抄録

神経芽腫との鑑別を要し,oncologic emergencyを呈した胃原発未熟奇形腫の新生児例を経験した.症例は在胎24週時に胎児超音波検査で腹腔内腫瘤,在胎26週に切迫早産,羊水過多を認め,胎児MRI検査で神経芽腫もしくは奇形腫が疑われた.腫瘍は急速に増大し,在胎36週に帝王切開で早期娩出された.著明な腹部膨満を認め,横隔膜挙上に伴う呼吸促迫のため人工呼吸管理となった.2生日に腫瘍生検を行い,迅速病理の所見は神経芽腫に矛盾せず,尿中HVA値と血中NSE値は高値を認めた.早期治療介入が必要と判断し,最終病理診断を待たずに3生日より神経芽腫に準じた化学療法を開始した.最終病理診断は未熟奇形腫で,21生日に腫瘍摘出術を行った.胎児期に指摘された腫瘍性病変は,術前および術中迅速診断では鑑別が難しい症例が存在するため,小児科・病理診断科・放射線科との慎重な討議を重ねることが重要であると考えられた.

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