2018 年 54 巻 2 号 p. 259-263
症例は日齢4の女児.出生時より左陰唇部に腫瘤を認め,超音波所見から左外鼠径ヘルニアの疑いで当科に紹介された.初診時,左大陰唇部皮下に15 mm大の弾性軟の腫瘤を認め,還納は困難であった.腹部CTでは左陰唇部皮下に18×14×14 mm大の腫瘤性病変が確認されたが,腹腔内との連続は認めなかった.MRIのT1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号を呈し,横紋筋肉腫が疑われた.胸部CTで右上下葉に肺転移を認めた.日齢11に施行した左陰唇部腫瘍全摘術では腫瘍は大陰唇の上皮層に達する楕円体として存在し,膜様に上皮を剥離することで腫瘍の残存なく摘出した.術後病理は孤立性線維性腫瘍であった.孤立性線維性腫瘍は成人の全身に発生しうる中間悪性の軟部腫瘍であるが,会陰部での発生は稀とされる.これまでに新生児での孤立性線維性腫瘍の報告はなく,文献的考察を加え報告する.