日本小児外科学会雑誌
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症例報告
次世代シークエンサーによりACTG2遺伝子変異が同定されたヒルシュスプルング病類縁疾患の1例
矢本 香織川原 央好漆原 直人
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2017 年 53 巻 6 号 p. 1210-1214

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抄録

ヒルシュスプルング病類縁疾患は,機械的閉塞を伴わない慢性的腸閉塞症状を特徴とする難治性疾患である.その診断は,生検や造影検査などでなされるが,新生児・乳児期では困難である.今回,慢性特発性偽性腸閉塞症(CIIP)と診断された症例においてACTG2遺伝子変異を同定したので報告する.症例は17歳の男児で,胎児期より巨大膀胱が認められ,生後2か月より腸閉塞症状を繰り返した.11歳時,腸管全層生検を施行され,神経叢に形態異常が認められないことから,CIIPと診断された.本人と両親および同胞2人に対して,次世代シークエンサーを用いた全エクソーム解析を施行し,ACTG2遺伝子のde novoミスセンス変異(c.769C>T, p.(Arg257Cys))を同定した.現在までに53家系でACTG2遺伝子変異が報告されており,今後,ACTG2の遺伝子解析がヒルシュスプルング病類縁疾患の早期診断に有用な方法となると期待される.

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