日本小児外科学会雑誌
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胃十二指腸動脈仮性動脈瘤出血に対して,内視鏡的クリップ術,コイル塞栓術,開腹術により救命し得た小児の1例
堀田 亮渕本 康史岡村 淳山田 洋平中尾 志生子小森 広嗣星野 健森川 康英橋本 統向井 万起男
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2007 年 43 巻 4 号 p. 639-644

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抄録

脊髄性筋萎縮症II型の5歳男児.呼吸増悪のため他院入院となり,気管内挿管,人工呼吸器管理の後,気管切開の為当院に転院した.転院後2日目に突然大量の新鮮血吐血を認め緊急内視鏡を施行.十二指腸球部後壁の出血性潰瘍に対しクリッピングを行い一時的な止血を得た.内視鏡所見から仮性動脈瘤の存在が疑われ,腹部造影CTおよび血管造影を施行.胃十二指腸動脈から右胃大網動脈,前上膵十二指腸動脈の分岐部に仮性動脈瘤を認め,コイル塞栓術(TAE)を施行した.その後2度の再出血に対し,いずれも緊急開腹術を必要としたが最終的には救命した.消化管出血は生命危機に直結した深刻な病態で,原因疾患が多岐にわたる小児では正確な診断が困難なこともある.今回,IVRにより正確な出血源診断が可能であった症例を経験した.腹部内臓動脈に発生する仮性動脈瘤は小児においてもTAEのよい適応となりうるが,再出血などの合併症には十分な注意が必要と思われた.

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