感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
COVID-19流行第3波から第5波におけるCOVID-19入院患者の流行期別分析
尾下 豪人緒方 美里井上 亜沙美佐野 由佳吉岡 宏治池上 靖彦山岡 直樹
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 96 巻 5 号 p. 173-178

詳細
抄録

目的:流行期ごとのCOVID-19入院患者の臨床像と予後,治療戦略の変化を明らかにする.

対象と方法:吉島病院に入院したCOVID-19確定患者358人(第3波116人,第4波137人,第5波105人)を後方視的に検討した.

結果:COVID-19ワクチンの接種が進んだ第5波では入院患者の年齢が若年化した.第3波ではファビピラビル使用例が多かったが,第4波以降にレムデシビル,バリシチニブ,抗凝固薬の使用例が増加した.入院時中等症患者が,入院後に重症/最重症,最重症へと悪化する頻度は,第3波と比べて第4波および第5波で減少した.高度低酸素血症をきたした42例の検討では,第4波以降にhigh flow nasal cannula(HFNC)の使用が増加し,ICUへの搬送や気管挿管を要した症例が減少した.

結論:治療戦略の確立,HFNCの積極使用,ワクチン接種普及による高齢患者の減少が,COVID-19入院患者の予後改善に寄与したと考えられる.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本感染症学会
次の記事
feedback
Top