日本小児腎臓病学会雑誌
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症例報告
自宅での尿検査により早期発見された非典型溶血性尿毒症症候群の同胞例
福地 雄太金子 昌弘山田 剛史吉田 瑶子菅原 有佳池田 洋一郎
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2021 年 34 巻 2 号 p. 145-151

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抄録

非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome: aHUS)は,補体制御異常による血栓性微小血管症である.近年エクリズマブにより治療成績が向上し,診断後早期の投与が推奨されている.症例は生後 4 か月女児.姉が aHUS のため通院中.ワクチン接種後 9 日目から哺乳低下,翌日顔色不良と自宅での尿検査で潜血を認め前医を受診した.溶血性貧血・腎機能障害を認め,家族歴,臨床経過から aHUS が疑われた.翌日当院転院後に血小板減少も出現し aHUS と診断,エクリズマブを投与し症状は速やかに改善した.後日,姉と同じ補体 H 因子の遺伝子変異が同定された.aHUS の家族歴があり,発症前から自宅での尿検査を指導していたことで,早期発見・早期治療が可能であった.特にワクチン接種など発症契機となり得るエピソード後には注意が必要であり,その発見に自宅での尿検査は有用であると考えた.

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© 2021 一般社団法人 日本小児腎臓病学会

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