歯科材料・器械
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レジンと歯質の接着における酸-金属塩化物混合水溶液の前処理効果
原嶋 郁郎平澤 忠富岡 健太郎岡田 淳一
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1989 年 8 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

本研究は, 酸-金属塩化物混合水溶液の歯質前処理剤としての効果を検討するために行った.10%の酢酸、クエン酸, 乳酸あるいはリン酸と0.11MのAlCl3, CuCl2あるいはFeCl3の混合水溶液12種, 酸のみの水溶液4種, さらに金属塩化物のみの水溶液3種の計19種について, 処理歯質に対するMENTAレジンの接着強さ, および処理歯質からのCa溶出量の測定を行った.処理剤の歯質脱灰力は, 主としてそのpHに依存していた.接着強さとCa溶出量との間には特定の関係はなかったが, これは歯質を過度に脱灰しなくとも高い接着強さが得られる可能性を示唆している.クエン酸とCuCl2あるいはFeCl3を組み合わせた処理剤, さらに乳酸とCuCl2を組み合わせた処理剤はエナメル質と象牙質の両者に対するレジンの接着強さを著しく向上させた.これらの処理剤は, いずれも10%リン酸を含む処理剤よりも低い脱灰力であった.

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© 1989 一般社団法人 日本歯科理工学会
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