AI・データサイエンス論文集
Online ISSN : 2435-9262
人流データの時系列分析による緊急事態宣言の効果の分析
劉 子恒郷右近 英臣
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 4 巻 3 号 p. 915-923

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抄録

2020年から2022年のCOVID-19の蔓延に対し,世界各地で感染拡大防止に向けた取り組みが行われた.感染症の流行を防ぐために,大阪市では計4回の緊急事態宣言が発令された.本研究では,大阪市の緊急事態宣言前後の人流データの時系列分析を通じて,緊急事態宣言が人流の変化へ与える影響の量的な評価を行った.具体的には,大阪市で発令された第1回から第4回までの宣言前後の人流変化率の予測値と観測値を比較し,緊急事態宣言による人流抑制効果の評価を実施した.その結果,第1回目の宣言発令直後は高い人流抑制効果が発揮されていたものの,発令が繰り返されるのに従いその効果は弱まり,第4回目の宣言では,人流抑制効果が第1回目の6分の1以下になったことが示唆された.さらに,各地域の人流の時系列変化をマッピングすることで,大阪市の中心市街地における滞在人口が,緊急事態宣言前から宣言後にかけて減少していく様子を確認することができた.

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© 2023 公益社団法人 土木学会
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